名水百選っておいしい水なの?
名水百選は飲料水とは限らない
スーパーや量販店などに並ぶペットボトルや瓶入りのミネラルウォーター類には、「名水百選選定の水」なとど表示しているものがありますが、名水百選に選定されれば飲料水としても優秀であるというイメージを持っている方も多いでしょう。
「名水百選」とは1985年に環境省が選定した全国各地のきれいな水とされる河川や湧き水、地下水のことです。
「名水百選に選定されている」というとさぞかし清らかな湧き水で、そのまま飲んでもおいしいのだろうと推察されるのですが、実は名水百選の選定基準は必ずしも飲み水として飲んでおいしい良質なお水ということではないのです。
名水百選は飲み水としての優秀さから選ばれたものではなく、その選定基準は、水質が良好であり、水量豊富で水源地と周辺環境までしっかり管理されているか、また当該地域の人が自発的に保全活動を行っているかどうかなのです。
名水百選の選定基準
では名水百選の選定基準とはどんなものなのでしょうか?
選定に際して確認されるポイントは下記の通りです。
- 水質・水量
- 周辺環境の状況(周囲の生態系に配慮されているか)
- 親水性・近づきやすさ(水への近づきやすさや安全性に問題はないか)
- 水利用の状況(生活用水や飲料水その他に利用されているか)
- 保全活動(保全活動の内容・効果はどうか)
- その他の特徴・PRポイント(由来や歴史など)
以上のように飲料水としての視点からの選定基準は特に重要視されているわけではありません。
名水百選ってどんな意味があるの?
名水百選を選定する目的は、全国にある清冽な水資源を再発見することで国民に広く環境保全の意識をもってもらうきっかけにするものと考えられます。
これは本来、環境保全の活動は国や地方公共団体が主導するのではなく、当該地域で日常生活を営む地域住民が環境保全活動を行うべきであるという考えによるものです。
こうした考えから全国100か所の河川や湧き水、地下水を選んだものが「名水百選」なのです。
ただ名水百選を選定した環境省もミネラルウォーターをはじめとする天然水の販売に際して、「名水百選」とラベル等に記載してPRすることは事実に反していなければ問題ないとしています。
商品であるミネラルウォーターや天然水そのものが名水百選に選ばれたのではなく、あくまで名水百選に指定された河川や湧き水、地下水を飲料水としての基準に合致するように処理されたものであることを明記すべきとしています。
「名水百選」をうたう商品は、地域の方による自主的な管理がなされた水源地の原水を使用したお水、地域の方に大切にされている水であるといえますが、おいしい水なのかどうかは名水百選だからというだけでは判断できないということです。
環境省選定の名水百選を原水として使用したミネラルウォーターや天然水と、そうでないものとを比べた場合に、名水百選と書いてあるもののほうがおいしいとは必ずしも言えないのです。
一般的においしいといわれているお水は多くの方に評価されたお水ですから、どれを選んでいいかわからない方は参考にしていいと思いますが、いろいろ飲み比べてみて、自分の喉と舌で選んだお水が最もおいしい水と言えるのです。