浄水器とミネラルウォーターの普及からウォーターサーバーの誕生へ
浄水器の普及
ミネラルウォーターが身近になるとともに、「安全と水はタダ」という意識の強かった日本人にとって不安な情報が出るようになりました。
集合住宅における受水層のよごれ、トリハロメタン、カルキ臭、赤錆等の問題がマスコミで取り上げられることにより、水道水への不安が高まったのです。
これにより、まず水道の蛇口に取り付けるタイプの浄水器が普及し、その後マンション等ではキッチンの下に取り付けるビルトインタイプの浄水器が一般的になりました。
ただ、浄水器は有害物質や不純物をある程度除去する機能はあっても、水自体は水道水であることに変わりは無く、その後の健康志向の意識の高まりや、環境変化による水道水のまずさ、ペットボトル入りのミネラルウォーターの味の良さが認知されたことやミネラルウォーターのイメージ戦略の効果もあり、PETボトル入りのミネラルウォーターは急速に販売数量を拡大します。
また、このころ、スーパーや量販店の店頭に設置されたRO濾過器を使った純水の販売も普及しました。
こちらも原水は水道水ですが、RO膜と呼ばれるウイルスや細菌類までも除去する高性能の装置で、ほぼ完全に不純物を除去した純水と言えますね。
最初に専用の容器を購入すれば、あとは無料で水を汲めるという事もあって人気のサービスです。
一般家庭へのミネラルウォーターの普及
そして、2000年台初頭には電気を使ってタンクの水を冷温両方に使用できるウォーターサーバーが販売開始されましたが、一般家庭向けではなく、病院の待合室やオフィスでの使用を想定したもので、サーバー本体の大きさもかなり大きいものでした。
その後、スーパーやショッピングセンターの店頭での家庭向けに開発されたウォーターサーバーのデモンストレーションきっかけに、ウォーターサーバーのメリットを知り、設置する家庭も少しづつ増えていきます。
重いペットボトルを持ち運ぶ必要のないことや冷水と温水がレバー一つで手軽に楽しめることに便利さを感じる人が増え、急速に家庭にも普及し始めました。
家庭用として一気に普及したのは2011年3月の原子力発電所の事故により、水道水への不安が広がったことです。
東京都内の浄水場で放射性物質が検出され、乳幼児向けにペットボトルの水が配られるなど水道水への不安はさらに高まり、この時ウォーターサーバー各社にも注文が殺到し、しばらくは供給が追いつかないほどでした。
このときウォーターサーバーを導入した家庭では、重たいペットボトルの入ったダンボールを持ち運ぶことなく、電話1本で安心安全な水を宅配してくれるウォーターサーバーサービスに大きな魅力を感じ、特に赤ちゃんや小さなお子さんのいるご家庭には非常に魅力的なサービスと感じられたようです。
その後もウォーターサーバー各社は西日本のお水を中心に在庫の安定確保を進め、ユーザーからも非常に信頼されるものとなったのです。
これを機にウォーターサーバーの利便性が一気に認知され、現在でも設置台数は右肩上がりの状況がつづいています。